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癌の悪性化に深く関与するVEGF-VEGFR系1) 2)
- 腫瘍血管が形成されると、癌は加速度的に増大する。腫瘍血管形成の中心的役割を果している一つにVEGF-VEGFR系がある。VEGF-VEGFR 系は癌の悪性化に深く関与する。固形癌の増殖や癌の血行性転移などにVEGF は重要な役割を果している。
主要なシグナル伝達を担うVEGFR-21) 2)
- VEGF(VEGF-A)はVEGFR-1 とVEGFR-2 に結合するが、主なシグナルはVEGFR-2 を介して伝達される。
- VEGFR-2 からのシグナル伝達は、主にPLC γ~ PKC(C キナーゼ系)~ MAPK を介する。
※ VEGF(血管内皮増殖因子:Vascular Endothelial Growth Factor) VEGFR(血管内皮増殖因子受容体:Vascular Endothelial Growth Factor Receptor)
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VEGFR 受容体からのシグナル伝達(再生時間 15秒) <イメージ映像> - ※画像をクリックするとアニメが再生します。
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VEGFは血管新生の増殖因子1) 2)
- 血管内皮増殖因子VEGFは血管新生における増殖因子である。
- VEGF 系の関連遺伝子由来の因子には、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、PlGF(胎盤増殖因子:placental growth factor)-1、PlGF-2 の7 つがある。
低酸素で誘導されるVEGF-A1) 4)
- VEGF-A はVEGF系のプロトタイプであり、単にVEGFと呼ぶときはVEGF-A を指すこともある。
- VEGF-A は血管新生に関してVEGF 系のなかでも最も作用が強い。
- VEGF-Aは主に血管周囲の細胞で産生され、パラクリン的に血管内皮細胞に作用して血管新生を惹起する。
- VEGF-Aは様々な刺激で誘導されるが、低酸素で誘導されることは特徴的である。
VEGF受容体の種類3) 4)
- VEGF受容体は、VEGFR-1(Flt-1)、VEGFR-2(KDR/Flk-1)、VEGFR-3(Flt-4) の3 つのアイソフォームが存在する。
- VEGFR-1 とVEGFR-2 は血管内皮細胞に特異的に発現する受容体型チロシンキナーゼであり、VEGF-Aがこれらに結合し活性化させる。
- VEGFR-3 はVEGF-C、Dと結合し、リンパ管新生を引き起こす。
VEGFR-1 とVEGFR-2 の関係3)
- VEGF-A との結合の強さは、VEGFR-2 よりVEGFR-1 が強いが、チロシンキナーゼ活性や自己リン酸化の程度はVEGFR-1はVEGFR-2 に比べて低い。 このことから、主要なシグナル伝達を担うのはVEGFR-2であり、VEGFR-1は調節的役割を果すことが示唆される。
VEGFR-2 からのシグナル伝達1) 2)
- VEGFR-1 やVEGFR-2 にVEGF が結合すると、ダイマーが形成され、自己リン酸化が起こり、チロシンキナーゼ活性が上昇する。
- PLC γが活性化され、次いでPKC(protein kinase C)の活性化により、その信号がRaf に伝わる。
- MAPK カスケードにより細胞増殖のシグナルが核内へ伝達される。
- 結果、血管が新たにつくられ、癌細胞に栄養と酸素を送り込み、癌を増大させる。
- VEGFR-2 は、血管内皮細胞の増殖、血管透過性亢進、抗アポトーシス作用のシグナルを担う。
参考資料
- 1)新臨床腫瘍学~がん薬物療法専門医のために(日本臨床腫瘍学会 編集/南江堂/ 2007)
- 2)わかる実験医学シリーズ~基礎から臨床応用までの血管研究がわかる(高倉伸幸 編集/羊土社/ 2004)
- 3)がん研究のいま~(2)がん細胞の生物学(高井義美・秋山徹 編集/東京大学出版会/ 2006)
- 4)サイトカイン・増殖因子用語ライブラリー(菅村和夫・宮園浩平・宮澤恵二・田中伸幸 編集/羊土社/2005)





